破産手続が開始する要件は破産法で規定されています。その要件である支払不能について、町田・相模原の弁護士が説明します。
「債務者が支払不能にあるときは、」「裁判所は、申立により、決定で、破産手続を開始する。」(破産法15条1項)と規定され、「支払不能」であることが個人の破産の前提条件として必要です。なお、昔は裁判所が破産を宣言することを「破産宣告」と呼んでいましたが、現在の破産法では「破産手続開始決定」と呼んでいます。
支払不能については、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいう(破産法2条11項)と定められています。ようするに財産や収入から借金を弁済できない場合です。
「債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。」(破産法15条2項)と規定され、支払停止があったときは支払不能が推定されます。
支払不能という債務者の客観的な状態を直接証明するのは難しいので、支払停止という法律上の推定規定を置いて、破産手続開始原因である支払不能の証明を容易にしているのです。
支払停止とは、「弁済能力の欠乏のために弁済期が到来した債務を一般的かつ継続的に弁済することができない旨を外部に表示する債務者の行為」をいうとされています。
例えば、債務者代理人の弁護士が債権者に受任通知を送付して返済を停止する旨を伝える行為は支払停止にあたります。一方、単に支払期限を経過して滞納しただけでは支払停止とはなりません。
債務者が自ら自己破産を裁判所に申立てる場合は、破産原因である支払不能を証明する必要がないとされています。これは債務者自ら自己破産を申立てること自体から、破産原因の存在を事実上推定させるからと言われています。
比較的少額の借金では破産できないのではないかと思う方もいらっしゃいますが、ほとんどのケースでは問題なく支払不能と認められ破産手続開始決定が出ています。 例えば借金が数十万円程度でも生活保護受給者で借金の返済を行う余裕が全くなければ、問題なく支払不能と認められます。他方、債務額が200万円ほどあっても、高収入・一人暮らしで生活費もそれほどかかっていないという場合は、十分返済していけると思われ支払不能と認められない可能性もあります。
なお、債権者が破産の申立てをする場合は、支払不能等の破産原因を疎明(証明)しなければならないとされており、債権者側から破産申立を行うのはハードルが高いのです。
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