個人再生は、自己破産の免責不許可事由であるギャンブルや浪費があった人でも利用可能です。
しかし、将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあり、かつ、再生債権の総額が5000万円を超えないことが必要です(住宅ローンを除く)。
したがって、無職の方や、安定した収入がない方は利用できません。
個人再生は、住宅ローン(や税金)以外の借金が大幅にカットされるというものです。住宅がなくても、この手続きをとることができます。
個人再生は自己破産のような免責不許可事由はありません。浪費やギャンブルなどで多額の借金をしてしまった人でも、要件に合致さえすれば利用可能です。
自己破産の場合は原則として全ての借金が免責されますが、個人再生の場合は減額された借金を分割で払っていく必要があります。
また、自己破産では財産は処分の対象になりますが、個人再生では財産を処分されず残すことができます。特に住宅ローンが有る場合に個人再生では住宅を残すことが可能です。
さらに、自己破産では、ギャンブルや浪費等が免責を与えない事由(免責不許可事由)として規定されていますが、個人再生ではこのような規定はありません。
また、自己破産では保険外交員や警備員等の特定の資格の利用も制限(資格制限)されますが、個人再生では、資格の制限はありません。
当事務所に依頼していただくと、債権者に弁護士が依頼を受けましたという「受任通知書」というものを発送します。それを受け取った業者の取り立てが止まりますので、ご依頼後に返済していただく必要はありません。
その後、個人再生の申立てをして再生委員が選任されると、再生委員に分割予納金を通常6ヶ月間支払い、さらに再生計画が認可された後に、債権者に対して返済を再開していただくことになります。
なお、住宅を維持するために住宅資金特別条項を利用する場合は、住宅ローンの支払いはご依頼後も続けていただきます。
弁護士が代理人として債務整理に介入したことで、信用情報機関には登録されます。その為、手続き後、5~10年間は、金融業者(銀行等)からお金を借りたり、クレジットカードを作成したり、ローンを組むことが難しくなります。
個人再生手続をすると、官報でそれをチェックした闇金業者から大量に手紙がくることがあります。ローンを組めない人を対象に勧誘を行っていますので、誘いに乗らないようにしましょう。
東京都の場合には、全体として早くて約4年。時間のかかる場合には約7年となります。
もう少し詳しく説明すると、申立までに約3ヶ月、そこから裁判所を通して返済して行けるかどうかの積立期間が6ヶ月、その後、再生計画の認可となります。裁判所への申立てから約10ヶ月で返済開始となります。
再生計画に基づく返済期間は約3年から5年です。
個人再生の場合には、住宅ローンを継続して支払う為、住宅ローンの保証人には迷惑はかかりません。
しかし、住宅ローン以外の債務(奨学金等)については、請求が連帯保証人の方に行きます。その場合、原則として、連帯保証人は一括で返済しなくてはならないので(※1)、連帯保証人も債務整理をしなければならない可能性が出てきます。
お手続きを依頼される場合には、連帯保証人に相談した方がよいでしょう。
※1 奨学金等分割払いにできる場合もあります。
個人再生手続をすると、国から発行されている官報に氏名・住所・個人再生手続きをした日時・裁判所等が記載されますが、一般の人が官報を見ることはまずありませんので、官報から個人再生したことが知られることは、ほとんどないと言えます。また、戸籍や住民票に記載されることはありません。
個人再生で減額できる借金の金額は、「最低弁済額」と「清算価値保証原則」の2つの基準(※小規模個人再生の場合)で決まります。弁済額と清算価値の金額の多い方を弁済していくことになります。
個人再生では借金の額(住宅ローンを除く)に応じて最低いくら払うという金額が決められています。
最低弁済額
借金の総額 |
最低弁済額 |
100万円未満 |
借金の総額と同じ |
100万円~500万円未満 |
100万円 |
500万円~1500万円未満 |
借金の総額の5分の1 |
1500万円~3000万円未満 |
300万円 |
3000万円~5000万円未満 |
借金の総額の10分の1 |
清算価値保証原則
個人再生の弁済総額は、破産をした場合の予想配当額(清算価値)を上回るものでなければいけません。
次のような財産の総額を計算します。
- 現預金
- 生命保険解約返戻金
- 自動車の査定額
- 退職見込み額の8分の1
- その他20万円以上の財産など