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「私的整理ガイドライン」の利用低迷

東日本大震災に関する法律問題

二重ローン:進まぬ借金減免 私的整理指針「要件厳しく」

東日本大震災の被災者が既存の住宅ローンなどに加え、生活再建のために新たな借金を迫られる「二重ローン」問題の解決策と期待されている「個人版私的整理ガイドライン(指針)」の利用が低迷している。指針は個人が自己破産せずに既存の借金を減免するための仕組みだが、金融庁によると、指針の適用申請を受け付けた8月22日以降、被災者からの申し込み件数は6件(今月28日時点)にとどまり、今後、運用の改善などが求められそうだ。【田所柳子】

指針は全国銀行協会が策定。被災して住宅や事業などにかかわる借金返済が難しくなった個人が、銀行など債権者との話し合いで借金を減免できる「私的整理」の仕組みだ。裁判所が認定する自己破産などの法的整理と異なり、債務者はブラックリストに載らず、新たな借金がしやすいため、被災者の早期の生活再建につながると期待されている。

8月22日から金融機関への申請受け付けをスタート。債務者を支援する第三者機関「運営委員会」には1077件の相談が寄せられ、一部では債務減免に向けて弁護士ら登録専門家との協議も始まっている。しかし、実際に適用を申請し、債務減免に向けた手続きを始めた例はわずか6件と、相談件数の0.5%に過ぎない。(以下省略)毎日JP2011年9月30日 2時35分

平成23年8月22日から運用が開始された個人債務者の私的整理に関するガイドラインですが、実際の利用は低迷しています。この原因について要件が厳しすぎるのではとの指摘があります。つまり、ガイドラインでは適用要件として「現在借金を返済できない、または近い将来返済できないことが確実」なことがありますが、2年程度居住できる仮設住宅に居住し、一定の収入のある被災者の場合、退去できるまでは家賃が発生しないため「返済能力がある」と判断され、ガイドラインが適用できない可能性があるのです。

個人債務者の私的整理に関するガイドラインとは

個人債務者の私的整理に関するガイドラインとは、東日本大震災の被災者が既存の債務の返済に加え再スタートのための新たな債務を負ういわゆる二重ローン問題対策のために、自己破産などの手続によらずに、金融機関が債務免除できる指針となるように策定されたガイドラインで、平成23年8月22日から適用が開始されています。

(1)私的整理ガイドラインの特徴

このガイドラインにおいては、状況に応じて①将来弁済型、②清算型、③事業再建型 の3つの弁済計画案の類型があります。いづれも無条件に借金を免除するような便利な制度ではなく、自己の財産を処分して、または財産相当額を弁済しなければなりません。ガイドラインの特徴として信用情報機関に事故情報が報告登録されず新たにローンを組むことが可能であること、第三者機関として私的整理ガイドライン運営委員会が設立されその登録弁護士等の助言指導が無料で受けられること、一定の場合を除き保証人に請求しないこと等があります。

(2)主な対象用件

  • 住宅ローン・事業性ローン等をお借入れの個人の方
  • 住居・勤務先、事業所・取引先等の生活・事業基盤などが、「東日本大震災」の影響を受けたこと
  • 既存のお借入れが弁済できない、または、近い将来弁済できないことが確実と見込まれること
  • 弁済について誠実である
  • 取引金融機関等の債権者に、その財産状況を適切に開示している
  • 震災発生前に、延滞等(期限の利益喪失事由)がない
  • 債権者の経済合理性に反しない弁済計画を作成する見込みがある
  • (再建を図る個人事業主の場合)事業に事業価値があり、再建の可能性がある
  • 反社会的勢力ではなく、そのおそれもない
  • 免責不許可事由に相当する事実がない

(3)手続きの流れ

①相談  ・・・・・・債権者と事前に債務整理成立の見込みについて相談

②協議  ・・・・・・債権者と事前協議

③債務整理開始の申出・・全ての対象債権者に債務整理を書面で申し出る。なお同時に債務者は、弁済や財産処分が禁止される(一時停止)

④必要書類の提出・・・・申し出後直ちに陳述書、財産目録、債権者一覧表等の書類を提出

⑤弁済計画案の提出・・・3ヶ月以内に債権者に弁済計画案を提出

⑥報告書の提出・・・・私的整理ガイドライン運営委員会の登録弁護士等が作成した報告書を弁済計画案と同日に提出する

⑦説明・・・・・・・・全対象債権者に弁済計画案等の説明を行う

⑧弁済計画案への同意/不同意・・対象債権者は同意・不同意の意見を表明する

⑨弁済期間・・・・・・弁済を開始

どの程度使えるのかまだ未知数

前記のように、利用開始から1ヶ月経っても利用は低迷しています。適用要件が厳しいという意見もありますが、まだ適用要件がどの程度厳格か判断するには時期尚早でしょう。 債務整理開始の申出とほぼ同時に財産目録等の必要書類が求められているので、実際は必要書類を準備してから申し出をすることになると思いますが、自己破産や個人再生とほぼ同等の書類が求められており、この準備だけで通常数ヶ月はかかると思われます。 また、事例の集積を待たないと実際の運用がわからず、我々弁護士にとってすら、そもそも使える制度なのか否かが未知数です。
なお、福島県の被災者は債務を負っている一方で、東京電力に対する損害賠償請求権という財産を持っており、原発問題が収束しない中で損害額も確定せず、この財産の扱いが難しいという問題もあります。

町田市にも対象者はいる

東京には福島県から避難している方がかなりいらっしゃいますし、ここ町田市の都営住宅等にも避難している世帯が何十世帯かいらっしゃいます(ほとんどが福島県の方でした)。 先日は、町田市役所において弁護士会主催の震災被害者を対象とした法律相談会を行いましたが、当事務所の弁護士森川も相談担当者として参加しました。 ローンがある方もいらっしゃったのですが、震災後督促がきていないので返済していないようです。
しかし、震災から半年たち、金融機関も督促を再開したという話を聞くようになりましたので、これから債務整理の需要が増えてくることが予想されます。

東日本大震災に関する法律問題① 「東京電力が原発賠償を開始」

東日本大震災に関する法律問題② 「義捐金等差押禁止法が成立」

平成23年10月3日

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